最近のベンチは座りにくい
歩き疲れた時や荷物を整理したいと思ったとき、ベンチを見かけたら座りますよね。でも座ってみると、「真ん中にある手すり邪魔だな…」「なんだか狭くて座りにくい…」そんな風に思ったことはありませんか?それもそのはず。そのベンチはあえて座りにくいように作られている可能性があります。
なぜ座りにくいように作られているのか
座りにくいように作られている理由の一つに、ホームレス対策があります。ホームレスが一日中ベンチで寝ている公園は、子どもを遊ばせるのに抵抗がありますよね。真ん中に手すりを設置することでベンチに寝転がることを防ぎます。他にも、円柱を横に倒したようなもの、座る面積が小さいもの等、色々あります。これらは巧妙にデザインされ、公園や街中の景観を保ちつつ、ベンチがホームレスに占拠されることを阻止しています。こういったデザインは排除アートと呼ばれています。 (防災設備を収納しており、その機能のために座りにくいものもあります。)
以下のURLにわかりやすい写真が載っています。(撮影:早川由美子さん)
排除されているのはホームレスだけ?
排除アートはホームレスに限らず、いろいろな人を排除していきます。酔っ払いもその一つですね。他にも、座りやすい椅子でしっかり休みたい高齢者、障がい者、妊婦もそうです。松葉杖で歩く若者もそうでしょう。遊び疲れた子供だって、時にはベンチで休みます。こうしてみると、特定の何かを排除しようと考えられたデザインは、すべての人にとって使いにくいものと考えられます。ユニバーサルデザインとは真逆といえるでしょう。
しかし、一日中ホームレスにベンチを独占させてもいいというわけではありません。いくら家が無くとも公共の場所を長時間占拠していい理由にはなりませんよね。社会のセーフティネットに拾ってもらえず、適切な支援を受けることができないまま居場所を追われ公園のベンチに行き着いた方もいます。根本的な問題の解決にはそういった方々への支援が必要です。
そういった支援が必要な方々を、デザインという手段を使って排除することは、排他的な社会を生んでしまうことになります。
もっと開放的な社会へ
そもそも、少しベンチで休みたいと思ったとき、近くにないことが多いです。やっと見つけたベンチは、座りにくい…。ちょっと座って休みたいと思ったときは、真っ先に喫茶店を探す方もいるのではないでしょうか。慌ただしい生活の波に飲まれて、息つく暇もないように毎日を過ごしている日本人は多いと思います。そんなとき、街中にもっとたくさんベンチがあって、気軽に座って時間がゆっくり流れることを感じられる…。そんな社会で暮らしていきたいですね。
(from SAKURAI)
1993年生まれ、兵庫県神戸市在住。社会福祉士。平成生まれのゆとり世代として、どうせ暮らすならいい世の中にしたいと思う。尿酸値は高め。
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